前回はボックスの作製までを書きました。今回はその後の調整などについて書きます。
出来上がったスピーカーシステムで音楽を聴いていて何か音がこもっているような、つやも足りない、楽器の輪郭もぼやけて良くない。やはりフルレンジにサブコーンが付いていても高音が足りない。ましてフルレンジ4本で鳴っているので真ん中が膨らみ、中音の圧力に負け高音が引っ込んでしまっている。何とか高音を引っ張り出さなくては、と思いながら安易な方法で対策です。ツイータの追加を考えます。
旧システムで使っていたツイータが出番を待っていました。待っていたのは、FostexのSuper Tweeter FT50H。私のシステムには高価なものは使いません。(買えません(^^;)ほどほどのものでも使い方次第でそれなりの音は出ると思っています。一番肝心なのは全体のバランスです。高価なアンプに安いスピーカーシステムはそれなりのほどほどの音、安いアンプに高いスピーカーは論外で、安いアンプには安いスピーカーの方が良い音がします。
音と言うのは原音から機器を通すことによってだんだん質が悪くなって行きます(例外はあります)。通る機器によって音楽ソースが歪んだりノイズが加わったり、左右の音が漏れたり、周波数特性により波形が変化したりといろいろです。中には結果OKと言うものもありますが。そこがまたオーディオのおもしろい所とも言えます。
本編に戻します。ツイータの前に直列にハイパス用のコンデンサーを付けフルレンジと平行に接続します。ハイパスとは、高音は通すが低音は通さないと言うこと。コンデンサーは周波数によって抵抗値が変わるのでそれを利用して電気的フィルターを作ります。フルに信号を入れるとツイータは壊れます。高音専用に作られているので、低音信号などの振幅の大きな波形を入れたら振動板がそれこそ飛んできますね、きっと。コンデンサーとツイータの間には音量調整用アッテネータも付けます。フルレンジとツイータでは能率が違いますから、調整を取って音圧のバランスを取ります。アッテネータを調整しながら聞き比べ、ベストのポジションを探ります。
コンデンサーは1.5μF(マイクロファラッド)でカットオフ周波数は13KHz当たりです。ちなみに1.0μFでカットオフ周波数は20KHz、2.0μFでカットオフ周波数は10KHzです。計算式は、f=1/(2πRC)。fはカットオフ周波数(電圧が半減するところ)、Rはスピーカーのインピーダンスで普通は8Ω、Cはコンデンサーで単位はファラッド。単位で言えば、通常はファラッド(F)、1/1000でミリファラッド(mF)、1/1000000でマイクロファラッド(μF)、1/1000000000000でピコファラッド(pF)。1/1000毎に単位が変わります。逆に向かうと、mm -> m -> kmとか、容量のbyte -> K Byte -> M Byte -> G Byte - > T Byte とかがあります。私のシステムではアッテネータMax(抵抗値ゼロ)でバランスが取れました。あくまでも自分好みですが。
低音についてはスピーカーを4本付けても、ダクト付けても計算数値のfoも高いので案の定足りません。しばらくこの状態で聴いていましたが、私は低音が好きなので低音が欲しくなりました。今更付いているスピーカーを変える気は全然無いしこのスピーカーが気に入っているので、サブウーハを検討することにします。ネットでサブウーハについていろいろ調べ検討した結果、YAMAHAのサブウーハに決めました。型番はYST-SW325で、ヤマハ独自の方式により良質でパワフルな低音域を再生出来るとあります。実際、システムの中に入っているのは20cmのウーハながら結構低音が出て来ており、ネットでの評判通りでした。
接続としてはまずセオリー通り、アンプのライン出力からサブウーハのライン入力から始め、カット周波数、音量調整等をしながら聴き比べます。でも何だか音像が変です。ぼやけているとか、ずれているとか、もやっとしているって感じです。入力信号の位相を反転させても音像が一致しません。あっちこっちばらばらな場所で鳴っています。再度調査、どうやら信号をライン出力からでは無く、直接メインアンプの出力からサブウーハへ入力させた方が良さそうです。微妙に相互の信号がずれるようで、結果的に中高音と同期を取ることが肝心でした。アンプの出力信号を直接サブウーハの入力に入れる?ちょっと乱暴な話ですが、通常アンプの入力側の内部抵抗は大きいので、そんなに電流は流れないでしょうから、早速試します。先ほどと比べると断然良い音で鳴っています。音源位置が同一なので同期が取れておるのでしょう。何でもかんでもライン出力からライン入力に入れなければいけないと言う先入観は駄目ですね、まさかアンプの出力をサブウーハのアンプの入力に入れるなんて、考えてもいませんでした。音の同期が取れ音像がはっきりしてきました。サブウーハ側で入力信号の位相反転を施し、カット周波数の調整を繰り返し、音量を変えながら試聴を2ヶ月ぐらいかけてやってやっと現在、調整ボリュームを触ること無く音楽を聴くことができました。
今は取りあえず満足してますが、どうも高音がまだ足りない、低音にもパンチ力がない。また欲望がむくむくと起き出しています。30cmウーハで鳴らしてた頃は、身体に直接風を感じたし、身体が直に振動してました。今は低音は出ているのですが、身体には振動を感じないのです。また、低音は無指向性なのでスピーカーの位置はさほど気にする必要は無いと言われていますが、スピーカーの位置は大事です。最初はアンプの位置関係もあり左寄りに置いてましたが、低音も左寄りに出てきており音楽が不自然でした。中央寄りに移動すると自然な音像に戻りました。センターに一つのウーハでも良いのでしょうが、やはり左右にウーハを配置した方がより良い鑑賞が出来るのではないでしょうか。一般的に言われる常識は全てを満たす物ではないと言うことです。